ドミソ等の和音はフーリエ級数では表現できない

バイオリン等、楽器の単音のそれぞれは、基本角周波数ωo[rad・Hz]の正弦波と余弦波と、
その整数倍の各周波数の高調波の加算(和)で、その信号を表現できる。
 
         N
V(t)=Σ {An*sin(n*ωo*t) + Bn*cos(n*ωo*t) } ・・・フーリエ級数の式
         n=1
 
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・・・音色は、基本波とその高調波の振幅の大きさで決まる。
(フーリエ級数の式で表現できる。)
 
 
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写真の資料引用:ETV 基礎物理から
 
このように、楽器の単音では、基本波とその高調波の加算で、音色が決定できる。
 
ところが、ドミソ、ソファラ、シレソなど、ごくありふれた和音でも、
それら、ド、ミ、ソ等のそれぞれの単音が、整数倍の高調波関係になっていない。
 
このため、和音は、フーリエ級数の式では表現できない
 
フーリエ級数を使えば、どんな波形の音でも合成できる」、と思ってしまうと基礎から間違ってしまう。
 
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PS.
[1] An*cos(ωo*t) と Bn*sin(ωo*t)を足すことの意味と、その必要性
意味:An*cos(ωo*t)+Bn*sin(ωo*t)=(√(An^2+Bn^2))*cos(ωo*t+θ),
0≦θ≦2π[rad]
と振幅の変化した単一の周波数の正弦波または余弦波で、任意の位相のずれを
伴った波形をこの式形式で表現できる。
 
cos(ωo*t)関数とsin(ωo*t)関数は直交関係にある、と言われる。
直交関係とは、定性的には、任意の時刻t で、その位相差が常に90°であること。
ベクトル関数同士が直交しているか否かを調べる方法には、その内積計算
が|A|*|B|*cos(ωt)=0 となれば、直交していると考えて良いのではないか、と思う。
厳密な直交の計算は、とんぺいさんのサイトが詳しい。