交流発電機の仕組みと複素数表現の関係

ワンターン・コイルを、反時計方向に回転させる2極端子式 交流発電機を考える。
 
回転させるコイルを通過する磁力線の本数(磁束Φ)が、コイルと磁力線のなす角度について、
Φ ∝ cosθ, 
θ=ωt となるように、
 
磁束 Φ(t)=BS*cosωt と置くと、
 
(B:磁束密度,S:コイルの面積)
 
「ファラデーの電磁誘導の法則」から、
 
誘導電圧 V(t)= -dΦ(t)/dt=-BSωsin(ωt)[V]
 
モータ発電機に抵抗Rの負荷をつなぐと、電流i(t)=V(t)/R
i(t)=-(BSω/R)sinωt[A]
 
この場合は、磁束と誘導電圧の位相は90°ずれるが、電圧と電流の位相ずれは無い
興味深い点は、回転の角速度ωに比例して、電圧と電流が大きくなる点。
 
電圧、電流ともに実数の値で、これを複素数表現すると、虚部電圧は、複素共役の関係で0になる。
 
反時計回りの回転運動を、誤って、複素電圧と対応させて考えてしまうと、時計方向に回転するプラスの周波数の複素電圧と、反時計方向に回転するマイナスの周波数の複素電圧の間に、複素共役の関係があり、虚数部電圧値がキャンセルされ0[V]になることに気づかない誤解がよく見られます。
 
当方は、「発電機の発生電圧は、実数の単振動電圧になる理解が正しい。」
と考えています。