周波数435MHzでの50Ωから75Ωへのインピーダンス変換の計算結果(LC回路・集中定数式)

文献[1]中の、LC回路による特性インピーダンス変換(50Ωを75Ωへ変換)の計算が、スミスチャート計算ツール[2]で、正確に計算できることを確認した。

インピーダンス変換の例題[1]

パラメータ設定

計算モデル用のパーツ一覧

計算モデルの設定

純抵抗50Ωの高周波電圧源(435MHz帯)をコイル(インダクタ)と、コンデンサで、特性インピーダンス75Ωに整合させることを想定する。

 

計算結果:計算モデルの各データポイントのインピーダンス値の軌跡

上図のように、RC回路末端のデータポイントは、実数軸上 75Ωに移動した。

 

※注意:

この計算は文献[1]の計算結果に基づき、あらかじめL,Cの値が計算済の条件で、スミスチャート上でのデータポイント(DP)の移動の軌跡を描いたものです。

 

実用的なスミスチャートを使いかたとして、インピーダンス変換のためには、L,C値を求める以下の手順の実行が必要です。

文献[3][4]

 

スミスチャートは、インピーダンスチャートとイミッタンスチャートからなり、それらを重ね合わせ、

インピーダンスチャート上で、50Ωを正規化した50/50=1.0Ωを実軸の円周上の左端、無限大を右端にする等レジスタンス円を、コンパスで描く。

イミッタンスチャート上で、75Ωを正規化した75/50=1.5Ωを実軸の円周上の右端、無限大を左端にする等コンダクタンス円を、コンパスで描く。

③ ①、②の2つの円の2個の交点から、チャート図から、正規化されたL,C値を読み取る。

④ ③で求め正規化されたL,C値を、Zo=50Ωを掛けて、L,C値の実インピーダンスを求める。

⑤ ④で求めL,C値の実インピーダンス値を、前述の「計算モデル」へ設定する。

 

計算結果:S11の値

計算結果: Vmax, Vmin 定在波の最大電圧、最小電圧とその距離(波長)。
ここから反射係数Γに関わる位相値がわかる。(検討中です。)

計算結果:計算モデル上の各データポイントのインピーダンス

RC回路末端のインピーダンス値は、75.2+j0.854[Ω]で、ほとんど問題なく期待どおりにインピーダンス変換された。

VSWR値は、1.51 で、実用の許容範囲と判断した。

 

※注意:

・RC回路末端のインピーダンス値は、75.0+j0.0[Ω]、VSWR値は、1.0の値が求まるように、計算アルゴリズムを構築することが望まれます。

・スミスチャートで読み取れる円の交点座標の読み取り精度は、高い精度値を期待できないかもしれません。

 

課題:

L、Cの値を、スミスチャートで計算するアルゴリズムとその考え方を明示すること。

[3][4]

 

 

参考文献:

[1]【第2話】インピーダンスマッチングの方 濱田 倫一様

www.fbnews.jp


Lマッチ回路」と呼ばれるインピーダンス変換の基本回路。

 

[2]スミスチャート計算ツール

www.will-kelsey.com

 

[3]【第24回】高速信号回路技術 - インピーダンスとアドミッタンスを行き来する「イミッタンス・チャート」 - YouTube

[4]【第25回】高速信号回路技術 - イミッタンス・チャートを利用したマッチング設計の実践 - YouTube

 

改訂:

Rev.1.0 スミスチャート読み取り精度の問題と、高精度のR,C値計算アルゴリズムの必要性を追記。2023/07/15