異なる大気層(雲の層)と晴れ上がった大気層の様子 (写真:Googleさん chromebook壁紙から引用)
戦後の直後、おそらく先輩方は、こうした空を見て、「暑い日の雲が垂れ込めた日」にスポラディックE層の電離層の発生が関係していると空想し、仮説を考えたのではないかと思います。栗山さんというアマチュア無線家(郵便局員さん)が、戦後間もなく、市販ラジオもないような時代にその驚きの現象を語った無線雑誌記事を読みました。
上の写真のように、確かに、光の様子が、厚い雲と、晴れ間で見た感じが全然違いますから、僕自身も中学生のころはそうなのかな?と思いました。
c=1/(√(ε*μ)) [m/s] で計算できてしまうことです。
晴れた空気層と、雲のどんよりした空気層では、少なくとも、誘電率μの値が少し異なってくるようです。
このため、電波の速度は、異なる空気層面に入射すると、速度がわずかに変化し、電波が曲がったり、反射に近いような動作が起こっているようです。
台風が近づくと、こうした異なる空気層が接しやすくなり、144MHzでも、関東から九州、四国、関西あたりまで、見通し外の電波伝播が、微弱な電界強度で、数日間も長く続く経験が何回もあります。
台風が去ると、この現象は消えます。
特徴は
・気象の変化の起こる対流圏内(10km高さ程度)
・受信電波強度は大変に微弱。
・長距離電波が数時間から数日も長く連続して続く。
・144MHzではこの現象を先輩方が「Eスポだ!」と騒いでいる。(がそうでは無いらしい。)
NICTさんの捉えた極度に発達したEスポの観測例 2017/06/03 17:15JST
このように、はっきりとEスポは、はるか上空の電離圏約100km E層の高さに突然現れてきます。
これがイオノグラムと呼ばれるもので、観測では真上の上空から反射してくる電波を受信し、30MHzあたりが反射周波数の上限です。
これは、電波が斜めから入射すると、約5倍程度のVHF周波数が反射されるのが知られています。
反射周波数の上限はよっぽと運がよくても150MHzあたりまでで、UHF電波の反射は無理のようです。
70MHz,108MHz あたりのFM放送,14MHz,21MHz,28MHz,50MHzの伝播状況は著しく強い電界強度になります。
しかし、その持続時間は非常に短く、数分から数時間程度です。
このEスポの発生頻度は、日本周辺が世界的に最も高くなっています。(毎年、同じ傾向です。)
すると、風は吹き溜まり状態になります。
この高層大気の吹き溜まりは、波動などで電離圏に伝播している可能性があります。
また、梅雨時期は、昼間流星群として有名な水瓶座流星群が地球大気に飛び込んで、上空100kmで燃えて、光ります。この時に、100kmの高さに、金属粒子の燃えカスを残します。
以上、あくまで個人の仮説ですが、こんな想像をめぐらしています。
また、スプライトと呼ばれる、雷雲の上空に電離層方向に放電する現象も近年、飛行機で観測され、その存在が確認されているのを知りました。
電離層を電流として流れてしまうと、具合が悪いのですが、スプライトにより、電子が、電離圏にも供給されているのではないか、と思います。
地球の北極〜南極間の磁力線により、上空にも磁場があります。
例えば、北風では、イオンや自由電子の粒子が磁場で回転しながら南下し、
南風では、それらが、回転しながら北上し、
両者の北風と南風のぶつかったところで、高層大気は滞留し、
そこに、イオンや自由電子のたまり場ができます。
これがEスポのできる原理と考えます。(立証できたわけではなくあくまで仮説です。)
一方、この螺旋回転するイオンや自由電子は、既知の計算可能な電波を出し、
シンクロトロン放射と呼ばれます。この放射の電界強度は大変弱く、
地球の場合は、長波の周波数あたりで受信できるようです。