モールス・マスター法:学習効果の上がらなかった「音感法」その1

概要:
モールス符号の習得は、高校1年になった僕に関して、「音感法によるモールスマスター法」は全く合わずに、この教材の利用により習得が随分と遅れてしまいました。
(モールス習得の進捗状況が一週間くらい停滞したため、やむおえず、オリジナル習得法(送信練習を先に終わらせる)に変更したところ、一日1H以内x3日で、1週間もの停滞を挽回した習得感を得て、その後、約1週間でモールス受信・送信術 45文字/分のマスターを完了しました。
結果的に、「音感法」は自分には合わず、習得の遅延・ロスト時間は1週間にも及んでしまいました。)
 
音感法では、
『例えば英字”F”をフルドーグ(古道具)というように「語呂合わせ」で覚えてはならない。
”F”の音を耳で聞いたら、そのモールス音に反応して、反射的に紙に文字を書き出す、という反射動作を習得しなければならない。
前述のような「語呂合わせ」でモールス符号送信を先に覚えることを厳禁とする。
かつ、送信練習を先に行うことも厳禁、受信練習が絶対に先である。
 
モールス・コード受信の書き取りができるようになるまで、習得に害が出るので送信操作の練習をしてはならない。』
と書いてありました。
さらに
練習時間は1日15分程度で良く、一回の練習時間をダラダラ長時間やるのは、集中できなくなるから、学習効果が上がらないので良くない。』
と強い戒めの案内がありました。
 
ところが、実際にこの「音感法」の教えに従い教材に従った学習を始めると、一週間たっても、教材のテープの音(45文字/分)を聞いて、直ちにモールス符号を書き出せるようにはならなかったのです。

僕は頭がバ◯なのか・・・OTL
と挫折し、自信を落としました。
 
このように、学習効果が全く上がらないので、対策として、自己流で、英単語学習に使う、紙の「暗記カード」を使うことにしました
 
欧文全文字、英字:符号 
(例:A = ・ー )を書き、
B (ー・・・)を見たら、ビービビビ、
C(ー・ー・)を見たら、シーシシーシ、
 
という具合で、まず最初に英字の全文字を暗記カードで覚えてから、全英字のモールス送信文字を一気に覚えました。
 
暗記カードは、毎度の一夜漬け試験の学校用学習に使い慣れていました
この暗記カード記憶式で、おそらく、どんなに遅くとも、1時間以内に欧文全文字のモールスコードが記憶できました。

僕の場合は「音感法」の教えに従わずに、電鍵と低周波発振器を使って、モールス・コード音を出す送信練習を先にマスターすることが自分には合っていることが、実際にやってみて、結果的に分かりました。
 
送信練習ができた後から「音感法」のテープを聞くと、1H以内x3日程度で、電信の音を聞きながら同時に聞いた文字を書き取ることが、何ら苦労無く簡単にできるようになり、一気に電信のマスターが進みました。
 
僕には「音感法」が、(自分には)合わない障害になっていたのだと思います。
 
(送信練習を先にやれば、欧文 45文字/分の聞き取りは3〜4日、実質、どんなに長く見ても、総合4時間程度でマスター可能という結果です。
 
これは2アマ国家試験合格レベルです。
国家試験の電信試験は、実際の電信交信と比べると、レベルがかなり低めです。

実際の電波を使った電信交信では、60文字/分は最低でもできないと、相手にしてもらえません。45文字/分以下では遅すぎるので、皆に敬遠されてしまいます。
 
この学習結果から思ったことは、人により記憶の仕方、その人に合った記憶法は異なっているかもしれず、「音感法」が全ての人に合う、という「音感法によるモールス・マスター法」の教えは、僕については成り立っていないのではなかろうか?と感じました。(ひょっとすると同じ現象を経験した人もいるかもしれないけども、統計データが無く、不明です。)
 
モールス符号は、英字26文字、数字10文字、特定符号(/BT,/AR,/HH)だけで、僅か40文字程度しかないです。(和文電信は概ね50音だから、欧文の約2倍の文字種あり。)
 
この短点、長点を組み合わせた符号は、受信音を聞いて、文字を紙に書き取る、または、頭の中で文字や文章を記憶して、文章内容を理解する行為を、最初はとても難しいもの・・・という恐れのようなもの、自分にはできそうに無い、と感じていました。
 
テレビでコンピュータから出て来る紙テープの穴のコードを見て解読する人や、ウルトラセブン地球防衛軍警備隊の人が、電信のモールス音の内容を紙に書き取って、謎のコードがわかってしまうのに、神業のような凄さと恐れを感じていました。
 
しかしその(根拠の無い)恐れの気持ちは、結果的には外れていた感じです。
 
出来ないと思っていたのに、自分でもモールスの解読ができることが、やってみて結果的にわかりました。
 
ただし、モールス符号の構成、例えば、A= ・ー B= ー・・・ を頭の中で理解し覚えただけでは、それを音信号として聞いた瞬間に、文字として誤り無く連続して書き出すということはできませんでした。
この状態では、受信実技試験、送信実技試験のある電信級以上の国家試験には合格できないです。
 
さらに不運にも、「音感法によるモールス・マスター法」は、モールス符号を送信から覚えることを厳しく禁止していました。これが、結果としては自分には全く合わず、教えの案内に従うと、実に一週間たっても教材のテープ音のモールス符号を書き出せるようにはならなかったのです。
 
、とはいっても、“F”=「フルドーグ(古道具)」というような「語呂合わせ」の覚え方を絶対にしてはならないという高価な教材の教えに従うために、次の手順をとりました。

すると、約3日間、合計数時間で、少なくとも45文字・分程度の文字は、モールス音を聞きながら、同時に書きとれるように、習得状況が激変しました。
 
まず、暗記カードで、全文字のモールス・コードを覚える。
   暗記カードの一枚毎に、次のように書く。
表 a、裏 ・ー
表 b、裏 ー・・・
表 c、裏 ー・ー・
表 d、裏 ー・・
表 e、裏 ・
表 f、裏 ・・ー・
表 g、裏 ーー・
表 h、裏 ・・・・
表 i、裏 ・・
表 j、裏 ・ーーー
表 k、裏 ー・ー
表 l、裏 ・ー・・
表 m、裏 ーー
表 n、裏 ー・
表 o、裏 ーーー
表 p、裏 ・ーー・
表 q、裏 ーー・ー
表 r、裏 ・ー・
表 s、裏 ・・・
表 t、裏 ー
表 u、裏 ・・ー
表 v、裏 ・・・ー
表 w、裏 ・ーー
表 x、裏 ー・・ー
表 y、裏 ー・ーー
表 z、裏 ーー・・
表 1、裏 ・ーーーー
表 2、裏 ・・ーーー
表 3、裏 ・・・ーー
表 4、裏 ・・・・ー
表 5、裏 ・・・・・
表 6、裏 ー・・・・
表 7、裏 ーー・・・
表 8、裏 ーーー・・
表 9、裏 ーーーー・
表 0、裏 ーーーーー
表 /BT、裏 ー・・・ー
表 /AR、裏 ・ー・ー・
表 /HH、裏 ・・・・・・・・
 
英字はマニュスクリプト体の小文字を使う。大文字は、英文では頭文字だけに使う。
筆記体は読みにくい。また筆記体は書く時間がかかり、電信には不利に感じました。
 
単語暗記カードを使ったモールスの覚え方:
例:表 a を見る。
  裏をめくる。 ・ー の記号を見ながら、心の中で、エエー と発音する。
  表 b を見る ー・・・ の記号を見ながら、心の中でビービビビ と発音する。
まず5文字(カード5枚分)を覚える。
 
覚えた5文字の確認。
覚えた5枚のカードをトランプのように切る。
表の文字を見る。覚えていれば、その文字を心の中で発音する。
裏を見て記憶が正しいか確認する。
間違ったか、思い出せない文字は、そのカードを後ろに回し、再試行待ちカード順に入れる。
5文字分、間違えなく覚えたら、次の5文字の5枚のカードに進む。
 
この繰り返しで、どう長く見ても、一時間程度で、欧文全文字の暗記は終わりました。
覚えた文字の記憶は、おそらく3〜4日は頭から消えずに残る。(と思います。)
(カードでの記憶作業を繰り返すと、電信符号は完全に記憶が固定され、安定します。)
 
次に送信練習をしました。
自作電鍵を使って、無線機の低周波発振器を動作させ、受信モードで、送信がされないように使います。

(電鍵は高価なので生徒/学生には買えません。そこで、知恵でカバーしました。
自動車解体工場でもらえたマイクロスイッチを使いました。
レバーがなければ適当な金属板をつけます。
現在、電鍵の高級品は数万円もしますが、マイクロスイッチで十分事足ります。
これならとても安価です。)
 
以下の文字を、頭で文字を思いながら、順番に(マイクロスイッチで)打鍵します。
既に暗記できているので、一回目の練習で全文字が送信できます。
ここでは、送信ミスは絶対に起こらないです。
(∵ 全文字を暗記カードで記憶した後だから。)
 
A=エエー
B=ビービビビ
C=シーシシーシ
D=ディディディ
E=イ
F=フフフーフ
H=トトトト
I=トト
J=ジェジェージェージェー
K=ケーケケー
L=トツートト
M=ムーム
N=ヌーヌ
O=オーオーオー
P=ピピーピーピ
Q=キューキューキュキュー
R=トツート
S=トトト
T=ツー
U=トトツー
V=トトトツー
W=トツーツー
X=ツートトツー
Y=ツートツーツー
Z=ツーツートト
1=トツーツーツーツー
2=トトツーツーツー
3=トトトツーツー
4=トトトトツー
5=トトトトト
6=ツートトトト
7=ツツートトト
8=ツーツーツートト
9=ツーツーツーツート
0=ツーツーツーツーツー
 
/BT ビービビビティー 文字”BT”を文字間スペース無しで打つ
/AR エエーアアール  文字”AR”を文字間スペース無しで打つ  
/HH トトトトトトト  文字”HH”を文字間スペース無しで打つ
 
全文字が打てるようになったことを確認後、英語の教科書を持ってきて、数字を混ぜながら、送信練習をします。
既に全文字を覚えているので、難なく送信操作ができることを実感できました。
 
毎日、この打鍵練習をしても、(音感法の教えるような)モールス受信の記憶動作に悪影響は出ませんでした。
 
むしろ、自分で打鍵したモールス音を自分の耳で聞き返すフィードバック動作が、モールス・コードの記憶固定化を確実にした、と感じました。
「モールス・マスター法の音感法が教えるものと、逆の現象が僕には起こりました」
 
この後すぐに「音感法」のテープで5文字づつ聞いて覚えます。
既に文字コードが頭に良く記憶されているので、簡単に、早く、全文字を聞いても、書き取る動作が、今度は苦労なくできるように、学習効果が大きく改善されてしまいました。
 
やり方を換えたら、自分の場合、0.5〜1.5時間/日 x3日で、テープから流れる文字の全てと、総合模擬試験のモールス文字列群を聞いて、書きとれるようになりました。
 
「音感法」の記憶手法に忠実に従うと、1週間かかっても、受信+書き出しができない実績失敗結果が、送信操作練習を先にする方法に変更することで、習得は劇的に早くなり、長くても約3日で十分という結果に改善されました。