2石FMワイヤレスマイクの製作(中学一年生)

中学校一年生の夏休み、1200円の通信販売で購入した2石FMワイヤレスマイクを製作した。

現象:FMラジオ(ラジカセ)に電波が受信できない。
コイルの巻き数、幅を変化させたが、どうしても電波が受信できない。

原因:
平ラグ板の一箇所のはんだづけ配線が漏れていた。

対策の経緯:

電器屋さんに聞いたけども、成果は得られなかった。
学校の先生(中学)に聞いたが、成果は得られなかった。
近所に工業高校の電気担当の先生がいたので、先生は親切で行ってみたら見てもらえることになった。
一週間後、先生のところにいくと、配線が一箇所漏れていることを指摘された。

「ここの配線が漏れてるんだよね。」

先生が、ワイヤクリップケーブルでその端子をショートすると、FMラジオから「ポワ~ン」とハウリング音が聞こえた。
電波が空間を伝わりFMラジオから音が聞こえた現象に、
 ”これまで経験をしたことがないような” 興奮を感じた。

先生(工業高校電気科)は、FMラジオの選局ダイヤルを回しながら、
「電波の子供(スプリアスのこと)が他にあるから、まだ調整が必要ね。」

と説明してくれたが、あまりの驚き、興奮の喜びで、それしか覚えていない。
お礼を言って急いで家に帰って、FMラジオから流れる自分の声に興奮が続いた。先生にはあとでお礼にお菓子を持って行った。

帰宅して実験継続。

・FMコイル幅を変化させたが、発振周波数を単一のものにすることはできなかった。

・コイルの巻き数や並列コンデンサの容量を変えたが、状態を改善できなかった。

・アンテナ線を、コイルタップにつけると、周波数が不安定に変化し、ラジオの同調から外れてしまうことに気づいた。

・コイルのタップ位置をずらしてアンテナ線をつけてみた。コイル巻線の1回巻き毎、全周についてタップ引き出しを試した。

・アンテナの長さは78MHzに対する1/4λ=96cmのビニルリード線をつけた。
長さを長くして、遠くに電波を飛ばそうと試みたが、失敗し、距離は5m程度が限界だった。

夏休みは、このワイヤレスマイクで夢中になって、庭に遊びにきていた友達らといっしょに遊んだ。
友達はうちの庭で三角ベースの野球もしていたが、僕の気持ちは、FMワイヤレスマイクとその他でいっぱいで、野球参加を忘れていた。

クラスの友達が遊びに来た。友達の「俺は回路図が読めるだぜい!」という話に焦りを感じた。
僕は回路図を見ても、なぜFM電波が出るのかわからなかったからショックだった。
僕は回路図を眺めて悩んだが、結局、配線図通りに、単純に部品の足を、リード線等でつなげばいいんだな、と気づき、友達の言ったことは何も難しくないことに気づいた。

(しかし、この時点では、回路図から配線方法を読み解くことに成功はしていたが、なぜFM回路図の回路からFM電波が出るのか、発振回路が発振する原理とFM変調の原理を理解していなかった。
もっぱら配線図を見て、回路を作り、動作するものを製造することだけに思考範囲が限定されていたことを理解していなかった。)

当時の僕の頭では、なぜ、FM発振周波数が、いくつもスポットが現れるのか、わからなかった。
単一スポットになるようコイルのまき直しなど、今では否定的に反省して(やってはいけないと)見ている試行錯誤法による、いろいろ明確な根拠なしにやってみる、という方法をとった。

うまくいかないので、FMワイヤレスマイクの他の回路図をいくつも試し、一年以上はこねくりまわし、訳もわからず、沢山の試作を繰り返した。
結果、FM発振周波数が87.5MHz単一スポットとなる動作品質の向上したものができあがった。

到達距離は、1.5V電池で200mまではFMラジオに届くものができあがった。
さらに、屋上にダイポールアンテナを設置し、ミニFM放送局の開局図面をノートに書いた。

しかし、もっと遠距離に飛ばすには、アマチュア無線従事者の資格をとらなければならないので、国家試験受験の学習にも入った。
初歩のラジオ誌には10Wでも関東エリア全般に100kmは飛ぶと書かれていたのに強い魅力を感じた。
この1年半後、国家試験(電話級アマチュア無線技士)へ挑むことになった。