{a,b,c,x | {a, b, c} ∈ R and {x ∈ Z} or {a,b,c,x} ∈ Z, Rは実数の集合, Zは複素数の集合}
ax^2+bx+c=0, a≠0 ・・・式(1)
式(1)の両辺をa (a≠0) で割ると、
x^2+(b/a)x+c/a=0 ・・・式(2) を得る。
一方、式(2)のxの一次の係数(b/a)を1/2にした xの一次式 x+(b/a)/2 の二乗を計算すると、
{x+(b/a)/2 }^2 = x^2+2x(b/a)/2 + (b/2a)^2
= x^2+(b/a)x +(b/2a)^2 ・・・式(3) となる。
式(3)を移項により整理すると、
x^2+(b/a)x = {x+(b/a)/2 }^2 - (b/2a)^2 ・・・式(4)
式(4)の右辺を、式(2)に代入すると、
{x+(b/a)/2 }^2 - (b/2a)^2 + c/a =0 ・・・式(5)
項 c/a を移項し、
{x+(b/a)/2 }^2 - (b/2a)^2 = -c/a
項 - (b/2a)^2 を移項し、
{x+(b/a)/2 }^2 = -c/a + (b/2a)^2 ・・・式(6)
式(6)の両辺の平方根を求めると、
{x+(b/a)/2 } = ±√( -c/a + (b/2a)^2 )
= ±√( -c/a + b^2/4a^2 )
= ±√{ -4ac/4a^2 + (b^2/4a^2) }
= ±√{ (-4ac + b^2) / 4a^2 }
= ±√( -4ac + b^2 ) /2a
∴ x = ±√( -4ac + b^2 ) /2a - (b/a)/2
= ±√( -4ac + b^2 ) /2a - (b/2a)
={ ±√( -4ac + b^2 } - b ) / 2a
={ -b ±√( -4ac + b^2 ) } / 2a
={ -b ±√( b^2-4ac ) } / 2a ・・・式(7)
式(7)に式(1)の解が求まった。
逆に式(7)は、式(1)を満たす。
QED.
課題と解決策:
NHK高校講座数I で、二次方程式の解の公式について、受講者に公式の暗記を勧めていたが、解の公式の導出の説明が省略されていた。
ずっと前から、数Iでは、平方完成による解の公式の説明がされてきたが、なぜ今になって省略された教育内容に劣化したのか不可解であった。
式(3)の解法のテクニックを知らないと、この解の公式を独自の新規考案は難しい。
公知の解法ではあるが、式(3)の解法のテクニックをあらかじめ知らないと解けない。
最初に、この解法を目にした高校生は、何故、先生が、そのようなことが突然思いつくのか不思議に思える。これは昔から知られた公知の解法のテクニックであることを、知識として知らないと解けないことも白状しないと、高校生は、先生は天才か?、何故解けたのだろう? と、狐につつまれた気分で愕然と板書を見る。
何もしらない初見の高校生からは、先生が天才に見えるが、・・・
手品の種明かしがされていないのだった。
一度習って、これを知っている人から見れば、
「なんや、先生の解き方は当たり前やないかい。」と。
高校 数I の曖昧な点(課題):
(1) 変数 a,b, cは暗黙の了解で、実数の属性と値域であることが明示的に宣言されていない。
(2) #(1)の仮定でも、解x は、複素数の属性と値域になることが明示されていない。
(3) 二次方程式の解の公式は、変数a,b,c が複素数でも成り立つことが明示されていない。
(4)判別式 D=b^2-4ac について、
D>0 2個の実数解 x
D=0 1個の実数解 x
の説明はあるが、D = 複素数 の場合、2個の複素共役でない複素数の解 x
の条件と解の存在が説明されていないこと。